いよいよ2025年、私はデビュー50周年イヤーの始まり、となる。
我ながらドキッとする『50年』という数字だ。「そんなに経ったか」という気持ちと、「やっと50年かあ、今まで波瀾万丈色々あってここまで来たなあ、、、」という想いが交差しながら、いま一つ一つのコンサートの準備を始めた。
すでにプレコンサートとして年末に行った「イザイ 無伴奏ソナタ全6曲未完成作品演奏会」。修行のようなイザイへの挑戦を東京と兵庫でスタートを切って、私自身はすでに身の引き締まる想いになっている。
50年という節目は、それ以外のどの節目とも異なる特別感がある半世紀だ。
この先55周年、60周年、65周年、、、と無事に迎えられたとしても、きっと後から振り返ったときにも、50周年イヤーこそが大きな一区切りであったなあ、と感じるのでは無いかと思う。何かが終わり、また何かが始まる大きな転換期をひしひしと感じることになる。
その代表的な記念コンサートの一つが、早速、2月1日みなとみらいコンサートホールでの「アニバーサリー・コンチェルト」と題したコンサートだ。さらに2月2日大阪ザ・シンフォニーホールでのリサイタル、と続く。
横浜は、みなとみらいでのコンサート。明兄と2人で作り上げる2時間、共演の神奈川フィルハーモニー管弦楽団の協力を得て、千住明の作品や千住明編曲によるオペラアリアなど、普段弾かないプログラム、私としても大変珍しいオペラアリアや千住明作品オーケストラバージョンなどの初お披露目曲目が多いコンサートになる。
それだけにワクワク、ドキドキ!
オーケストラ伴でのオペラアリア演奏はなかなか弾きたくても弾くチャンスがなかっただけに、私は実に嬉しい想いが湧いてくる。このオペラアリアは、昔から私が憧れてきた作品ばかりで、「人の声ってどうしてこんなに素晴らしいのだろう!」と感動していたものだ。
実はオペラアリア、明兄とイタリアの地に赴きナポリで演奏したことがある。30年ほど前のことだ。
それはNHKスペシャル番組でのドキュメンタリーのことだ。
明兄が編曲したオペラアリアをナポリのオーケストラと共に私が弾く。ナポリのプレーヤーの方々は当然生まれた時から知ってるようなオペラアリア。それをヴァイオリンで弾くのか?と始めオーケストラプレーヤーたちの戸惑いも見えた。私が弾いていても一緒に歌い出す楽器プレーヤー。NHKのテープが回っていてもお構いなしでみなさん陽気に各々歌っていた時間もあった。そんな明るく朗らかな、とてもイタリアらしい雰囲気が楽しかった。
中にはワインの瓶を傍において、なんと飲んでるでは無いか!と驚いた。なるほど赤くなった顔、やけにご機嫌なご様子、歌う声の大きなこと、、、。それもこれも温かみのある雰囲気で、いかにも音楽を愛して楽しむ空気が私を包んだ。
そんな想い出が、オペラアリアを弾くたびに浮かんでくるのだ。名曲の様々なオペラアリアを兄の指揮で弾けるなんて、本当に楽しみでたまらない。
オペラアリアは、翌日の大阪ザ・シンフォニーホール(ピアノ伴奏山洞智さん)でも弾くことが出来るので、連続してのオペラアリア演奏は50周年ならではの企画だと言える。ちなみに大阪では、バッハの無伴奏シャコンヌやベートーヴェンのロマンスなどのデビュー以来想い出の楽曲も選んで演奏する。
最近では、年月が経つのがやけに早く感じる。なのできっと50周年イヤーも、始まったと思っていたらあっという間に終わるのだろうなあ、、、と思うと早くもちょっと、淋しい、、、。
1人でも多くの皆様に、50周年コンサート、きっと聴きにいらしていただけることを信じ、願っている年初めだ。