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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2024 年 7 月
考えない

花は何か考えてるのかなあ


思考が溢れてる。
ものが溢れ、情報が溢れ、フェイクが溢れ、私たちは常に思考の渦の中でもがく。どちらが正しいのか常に考え悩み、何をチョイスしようか決めながら前に進む毎日、、、。
こういう思考が脳を疲れさせるという。

そこで言われ始めたのがルーティンだ。あらかじめ決めておくわけだ。
朝起きたらこれを食べるとか、大切なパフォーマンスの前に必ずすべきことを決めておくとか、1日のうちでどの時間帯にジョギングするとか。
決めておくことで脳の疲労を少なくさせることができる。
それでも人間は考えてしまう。考える葦である、からだ。アダムとイブが智恵の木の実を食べてしまったからか、私たちの「思考する癖」はなかなか抜けない。
近辺流行ってきたマインドフルネス、も「考えないための方法」だ。
何か一つ単純な動作に気持ちを集中させることによって、雑念やら雑念とは思ってない何か複雑な決め事などを頭の中から排除する。
先ずは自分の呼吸に意識を集め、身体の感覚に意識を移し、静かな自然界の映像や音をイメージしたりしながら心や頭の中を静寂にしていくわけだ。最初はすぐに、日常のあらゆることをいつのまにか考えていたり、気になる事案が頭からなかなか離れない、ということがある。
考えない、って難しいなということは、大人になってから気がついてきた。
子供のうちは、考えない。起こりうる様々な可能性をまだ体験してないから不安も少ない。
楽しいとか嬉しいとか、時に悲しいとか悔しいとか、、、。それが色々な経験を積むとチョイスすべきことを知る。他人の動作が気になり、自分がどうするべきか悩む。
運動や演奏や様々なパフォーマンスの分野で、子供のうちは天真爛漫に天才的なことをやってのけていた人も大人になるにしたがってひるんだり恐怖を知ったり失敗を恐れるあまりパフォーマンスがうまくいかなくなる。考えてしまうからだ。
私自身も、そんな経歴経験をもつ一人であるから、よくわかる。
子供の頃は怖くないんだ。失敗なんて考えないし、夢と現実を区別しない。やりたいことをただやるだけで、思考が邪魔することがないから身体と心が素直に動く。だから成功する。成功すればもっとやりたいことをやろうとするだけなのだ。
考えなければいいー。
そんな単純なことを大人はなかなか出来ない。

考えない工夫。
どうすれば考えないようになるか、私はひたすら考えるー。