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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2022 年 3 月
一日人間ドック

人間ドックに行った。

母が亡くなった後からここ10年程、ほぼ毎年人間ドックには行くようにしている。順番に様々な部分を診てもらえるのはありがたいことで、普段気になっていてもなかなか病院へ行くタイミングがない人にとって、必要なことだと実感している。
このごろは新型コロナウィルスがなかなか収束しない中、病院は非常事態的な状態がずいぶん長く続いてしまっているわけだ。医療逼迫で医療関係の方々はこの2年以上、片時も休める時間が持てないまま過酷な日々を送ってる。そんな時に「健康診断」なんて受けても良いのだろうか?という気持ちにもなる。
しかし人間ドックで隠れた様々な病が発見されることも少なくない。重篤な病気だと早期発見であれば命が救われることもあると言う。
そんなことを考えながら今回私は、診て頂ける感謝を胸に、慶應義塾大学病院へ向かった。 

慶應病院は父の代から我が家では長年お世話になっている旧知の病院だ。
昔に比べ、ずいぶん改装されたり拡大されてきれいな広々とした立派な建物になっている。まだ工事中の部分もある。
いくつかのレストランやコーヒー専門店、喫茶店、ヘアサロン、コンビニも複数病院建物内に入っていて、サービスが凄く整っている。
診察室は清潔感があり明るく、待合室も広々していて、スタッフの方々は優しくて親切、丁寧だ。こういう病院なら足繁く通いたい!とまで思ってしまう病院。病院のイメージが「暗くて緊張する場所」なんて思ってらっしゃるかたがいらしたら、是非そうではないことを体験しに来ていただきたいと思う。コロナ禍が過ぎたら!

さて、こんな大変なコロナ禍であっても、人間ドックを行って頂ける有り難みをひしひしと感じながら、一日で終わるコースのドックをお願いした。
特にコロナ禍であることを意識して、検査日の数日前にPCR検査を行う。当日は、常時マスク着用や検査のたびの手指消毒はもちろん、患者同士が密にならないよう、また遭遇しないようにときっちり守られた予約時間設定。だから他人とすれ違うことはあっても、ほとんど会わずにすむだけでなく、待たされることもないから次から次にスイスイと検査が進む。
内視鏡では、私は痛いのが嫌いなので(みなさんそうですね)麻酔をお願いしたが、その麻酔の実に自然なかかり具合とスッと目覚めた時の爽やかさ!「あら、いつの間にか!」だった。
その後少しだけ椅子に座って休んだあとは、お楽しみのランチチケット付き!チケットを渡せば全く待つことなく人間ドックの人は(時間の制約があるため)優先的にテーブルへ案内してくれる。その指定されたレストラン、11階の帝国ホテルが経営するレストランなのだが、なんと美味しいこと!人間ドックの人限定のおすすめメニューも豊富で、普段迷わない私もどれにしようか迷う楽しみがあった。注文するとすぐにお料理が運ばれてきた。

その後、決められた時間通りにスタスタと脳ドックへ向かう。
検査そのものはとても緻密で、細部に亘り専門医が検査してくれる安心感。
とにかく待たされるのが嫌いな私は、サクサクとスケジュールが進むことって気分が良い。

全て終わると、院内のスタバでソイラテとおやつを食べてから、人間ドックの一日が終わった。