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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2022 年 1 月
寅年

2022年の年が明けた。
全てがリセットされる気持ちになれる元旦が、私は好きだ。
2年も長引いている新型コロナウィルスの感染、拡大したり収束したりを繰り返しながら次から次に新たな変異株が私たちを不安にさせる。
コンサートも感染防止対策を駆使しながらも、徐々に始められるようになったり、それでも中止になったり。ヴァイオリンを演奏する時にもマスク着用、大変苦しいがそれもまた慣れてきた。
ステージでの共演者との握手もハグも、全く出来なくなり、コンサート後の打ち上げも出来なくなった。
感染が収まって来たかなと思った矢先、じわじわと、ヒタヒタと、不穏な気配が広がり始めているようだ。
この新型コロナウィルスは無症状の人をも介して知らぬ間に広がるのが恐ろしい。
まるでSF映画を観ているように、目に見えない大敵であるウィルスは、人類をもてあそぶかのような変異を展開させて、人の体内を蝕みながらその体内で生き延びているのだ。
戦いだ。これは新型コロナウィルスとの闘いである。
人間同士が戦っている場合ではない。人間同士がいがみあったり傷つけあっている場合ではない!人類が一丸となってこのウィルスと闘わなければならないという焦燥感を持つ。
 そんな不安な中での年明け。
全てをリセット出来ればどんなにいいだろう。新型コロナウィルスの変異株と、きれいにお別れしたいものだ。
昨年の厄を払い、今年は良いことが続きますようにと神社で手を合わせる。
空気まで新しくなったように感じられる元旦の朝。地球上のどの地点であっても初日の出は格別な感動があるはずだ。
どの地点で暮らすどんな人にも、今現在、新型コロナウィルス初め、戦争や災難に巻き込まれて苦しめられている人にも、神々しい朝陽が照らされるに違いない。そう祈りたい。

さて、日本には干支、12干支というものがある。
一年ごとに動物があてがわれて12年で一回りだ。
実に微笑ましい風習だと思う。

子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳年(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(いのしし)

全部で12支ある干支を幼い頃覚えながら、おばあちゃまは猿だとか、お父ちゃまはイノシシだとか言う話題に花が咲いたのも大抵お正月だ。
今年は何どしだということも、日本では大きな話題になる。
その年の干支の人は、年女、年男と言われるのも微笑ましいことだ。
かくいう私は、といえば、寅年だ。今年は寅年、まさに私は年女にあたる。
12年に一度巡ってくる12支であるから、あの人は何どしだと言えばだいたい年齢の見当がつくのは、
女性としてはちょっと困ったことだなとも思う。
それで思い出すのは母の言葉だ。
私が幼い頃、私たち子供は母からよく言い含められたことがある。母は
「もし人から、お母さんは何どしか?と訊かれたら”ブタ年です”と答えなさいね」
と言っていた。
ブタ年なんてないじゃない!と大笑いし、母の女心など知る由もなく、友達に楽しく話題を提供したものだ。
そんな母は、本当は私と同じ寅年だった。更に祖父も同じ寅年であり、虎虎虎、と、虎が3匹集まると強いのだと祖父に言われてなんだか嬉しかった。
そんなこともあって、私は寅年であることが好きだった。
虎のグッズを集めたり、動物園に行けば虎の檻の前でじっと観察し「私も虎よ」と心で呟き、虎を愛した。
さて、寅年の全国の皆さん!世界中の実は寅年である皆々様!
集まることは出来なくても心一つにすればきっと、何か変化がおきる。ウィルスがタジタジとなりますように!