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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2021 年 7 月
SNSとの出会い

SNSというものを始めて、一年が経った。
コロナ禍が始まった去年、緊急事態宣言が初めて出される直前、親しくして頂いているNHKの森田美由紀アナウンサーと、もうお一人敏腕テレビプロデューサーの李フミコさんというかたに誘われてランチをした「あの日のランチ」が私にとって「運命の扉」だった。

あのランチ自体も、その後しばらくの期間共に会食できなくなった最後となったわけだし、何より私自身に大きな変化が起きたのだ。

ランチを楽しみながら、美由紀さんが自然な会話の中に
「あ、そうだわ、李さんは凄くスマホに詳しいから、今から真理子さん、ガラケーやめてスマホに変えた方がいいと思うの」
とさらりと言葉にした。フミコさんも
「ええ、私この後時間あるから、ランチ終わったら、真理子さん
このままスマホショップに行きませんか?」
そうしましょー、そうしましょー!という流れは、実に自然な流れだった。

ガラケー。
愛するガラケーから、私は動く気持ちはなかった。そのときまでは。
何一つ不自由していなかったし、第一クラシック奏者が文明のリキに屈することに抵抗があった。
しかし、なのに私は、美由紀さんとフミコさんの柔らかな愛情に包まれて、抗うことなくふわりとランチ後にスマホショップに向かい、フミコさんとコーヒーショップに移動した。
ドキドキして見ている私の視線を、多分フミコさんは何ら気にすることなく、新しい私のスマホを着実に設定し、取り急ぎ必要なアプリをインストールし、必要なものをダウンロードし、最低限使えるようにしてくれた。

その後すぐ緊急事態宣言だ。
特に1回目の自粛生活は、私自身訳の分からないウィルスへの恐ろしさがあってほとんど1歩も外出することなく、家に閉じこもってただただ練習をしていた。
ガラケーではなかなかわからない情報をいち早くスマホでキャッチしたり、自分に必要なアプリを見つけてインストールしたり、、、スマホは即戦力があった。
食生活にも変化があった。
練習の合間に普段なら外食したり調理済みの食料を買ってきてろくに噛まずに早食いしたりして食べていたが、スマホになったことをきっかけに、少しずつ自分で調理して写真に撮り、心配してくださっている美由紀さんやフミコさんに何を食べているかを写真で報告するようになった。
それが楽しい!
お二人から送られてきた写真をお手本にして真似して作ってみるのも楽しい。
このお二人のおかげで、私はまともな食材を使って健康な食生活を送れるような人になった。野菜も肉も魚も少しずつ調理をする楽しみに変わっていた。
卵だってそうだ。
それまで生卵を3つ丸呑みしていた私は、様々なお料理に調理する楽しみを覚えた。時に失敗したり何だかわからないものができ、こんなのができちゃった、と報告。それでも責任感で食べなければならない時、お二人はそれさえも独創的!と褒めてくれたり、野菜たっぷり!と激励してくれた。ほんとにありがたかった。
時にインスタグラムやフェイスブックでアップすれば、フォロワーの方々から激励のコメントをいただき、どんなに励まされたことか!
少しでも栄養のあるものを、少しでもおいしそうに作ろう。次第にそう思うようになって、私はまともな生活を送れるようになってきたんだ。
緊急事態宣言が明けるたび、「仲良し3人組」は久しぶりの外食を短時間で楽しんだりする機会にも恵まれた。そのチャンスをつかまえて、私は疑問に思っているスマホの使い方などを質問攻めする時間にもなった。
そう思えば、コロナ禍において、必ずしもマイナスなことばかりではなかったなぁと思い返している今日この頃である。
まだまだ続くコロナ禍の不安な日々。変異株がはびこらないように、ひたすら祈りつつ、スマホに助けられて今日を過ごす私である。