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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2020 年 1 月
デビュー45周年!

今年は、デビュー45周年。デビューしたのは12歳の1月である。

NHKホールでNHK交響楽団とバッハを演奏した。バッハはドッペルコンチェルトで、共演してくださった江藤俊哉氏とは初対面だった。
共演をきっかけに、私は長く、江藤俊哉先生の門下生となる。
デビューしてからは、当時大変人気の高かったクラシック番組「オーケストラがやってきた」に頻繁に出演させていただいたり、その番組のパーソナリティーの山本直純氏には可愛がっていただき、様々なコンサートに呼んでくださったのが私のコンサート活動の始まりだ。

考えればこの45年のステージ人生、本当に波乱万丈だったと思う。
バイオリンに挫折したり、どう生きようか悩んだり、頑張っても努力しても、なにも報われない絶望にうちひしがれたり、親と喧嘩して家を飛び出したり、恋愛も失恋も、いまとなってはすべてが音楽の肥やしであったかも知れないなあ、と。
まあやっと、そう思えるようになったのだ。時間は必要だったな、とも思う。

で、今、私はやはりバイオリンが好きでたまらない。
デュランティという相棒に巡りあってからますます、バイオリンに夢中だ。
本来私は「いつ死んでも悔いなし」という考え方で、逆に悔いないように日々を生きようと思っている。
ただ、いまは、バイオリンを弾いていたい。一日も長く、バイオリン人生に夢中になっていたい。
バイオリニストとしての、私がイメージする理想にはほど遠いからだ。近づきたくて、毎日努力する。
練習はもちろん、自分なりにどうすれば理想の演奏ができるか研究している。
演奏家はアスリートと同じだと考えるため体力をつけないとだめだ。演奏し続けるために水泳やジムトレーニング、加圧ジム、食事のことも様々なアスリートの本を読み研究、健診も行くようにしている。

そんな私がつくづく思うのは「年令を重ねながらソリストとしてステージに出ること」は、たぶんその年令にならないとわからない辛さがあるのだろうと、うすうすわかってきた。
わかっていながら、私は、命つきるまでバイオリニストでありたい。これが、今年45周年を迎えた私の気持ちだ。

周年ごとに行ってきた今年も、3月にはイザイの無伴奏バイオリンソナタ全曲リサイタル(横浜、京都)、11~12月にバッハの無伴奏バイオリンソナタ&パルティータ全曲リサイタル(横浜、大阪、東京)、さらにコンチェルトリサイタル(6月東京、7月大阪)など、企画している。
ぜひ皆様にはご興味のあるコンサートへ、ききにいらしていただきたい!