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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2026 年 2 月
ある日の葛藤

今年は特に寒く感じる。
週に何回かは泳ぐようにしているものの、こんなに寒いと何だかんだと理由を考えてサボりたくなる。
行くまでがまず難関だ。
冷たい風が顔に吹きつけると、家から出てから即座にきびすを返すように戻ろうかと考える。
なぜ、そこまでして私は泳ぎに向かうのか。
自問自答が始まる。
続けたいからだ。演奏を、ステージの上で集中して出来るように、体力を維持していかなければならない。
身体は年齢と共に衰えていくのは仕方がない。その現実をあらがって、筋肉が萎えてしまわないように鍛えることが、ヴァイオリン練習と同じくらい大切なことになってくる。
もしかして練習よりも身体を維持させることのほうが、今となっては先決問題かもしれない。
そう思うと、重い足も一歩一歩ジムへと向かう。吹きつける冷たい北風、、、またもや心が怯む。今左に曲がってすぐまた左に曲がればうちに帰れる。今日はやめちゃおうかなあ、寒いし風邪引いたらいけないなあ、、などと自然、行かない理由が湧いてくる。
いや、泳ごう、泳がなくても水中歩行だけでも良いから、、、。
そうやって片道10分ほどの距離を自分との戦いに負けそうにながらてくてくと向かうジムへの道。
とうとうジムにつけば、さあついたぞと意気込むよりは、あら着いちゃったわと往生際が悪い私。いざ、ジムの中へ入ると予想外に多くの老若男女が黙々と己を鍛えている。偉いなあ。みんなこの寒い中、あの方もこの方も、、、と、それぞれのお顔を見つめながら、自分自身を反省する。私もいざ水の中に入り、あとは何も考えずに泳ぐ、泳ぐ、泳ぐ、、、。ひたすらに、往復を繰り返し、聞こえるのはバシャバシャという水をかく音、バタ足の音、、、。私より年配の方々も、ひたすら泳ぎ続ける隣のレーンを横目で見ながら、クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、、、。
辛いのは初めの数百メートルだ。500メートルを超すと、不思議といくらでも泳げるような呼吸になり、もう一往復、もう一往復、、、結果1キロを超して、まだまだ泳ぎたい気持ちにもなる。時間を見ながら適当なところでやめると、泳いだあとはいつも清々しい。
ヴァイオリン演奏で凝り固まった肩や背中、腕までが柔らかくほぐれて軽くなっている。
帰宅したらまた頑張れそうだ。
この冬、弱い自分にあらがいながら、、、早く暖かくならないかなあ。