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Essayエッセイ

エッセイ「心の音」

2024 年 1 月
お餅

お正月。

真っ先に連想されるのが、お餅だ。
私はお餅が大好きだ。いくらでも食べたいと思うし、お腹が苦しくならなければいろんな食べ方を一気に試したいとも思う。
お餅があれば他に何もいらないとも思う。日頃食べている卵もこの時ばかりは私の頭の中に存在しない。いつもは筋肉を鍛えるためにタンパク質を食べて運動すると言うルーティーンは、お餅の存在によって書き消されてしまう。
そんなお餅だけど、なぜか私はお正月にしか食べない。お正月に食べるもの、という刷り込みがいつの頃か私に植えついていて、お正月が過ぎるとお餅がいつのまにか遠ざかる。来年またね、という気持ちにもなる。
かといって、日頃からお餅が食べたくないわけではなく、時折、早くお正月にならないかなぁと待ち遠しくさえなる。

お餅の食感、つるりとした口触り、噛めば噛むほど味が出てくる旨味、いろいろなアレンジが効く応用の広さ。お餅は食事にもなるし、お餅はおやつにもなる。
私が1番好きなお餅の食べ方は、その時代によってブームがある。
今一番好きな食べ方は、蜂蜜ときなこをまぶして食べる食べ方だ。その場合は、お餅を小さな一口大にして1つずつ味わって食べるのが好きだ。
大切な事は、まずお餅を柔らかくすることだ。
お餅を焼く人と、お餅を茹でる人がいる。私は断然茹でる派だ。なぜなら、お餅を焼いたときの香ばしさは好きだけれど、そのかわり食べたときに歯に詰まる感覚がどうしても耐えられない。お餅を茹でてふわふわにすると口の中に入れてもとても優しいお餅になる。
最近私がお餅を茹でる茹で方は、お鍋で茹でるわけではなく、電子レンジでチンするやり方だ。これがとても良い。ちゃんとふわふわに柔らかくなる。第一お鍋に入れて茹でるとお鍋を洗うときにお餅がこびりついてしまって手間がかかる。電子レンジであればその心配がない。

電子レンジでお餅を柔らかくする方法ー。
1つのお餅が入る程度の大きさのお皿にお餅を入れ、お餅がひたひたになる程度の水を入れ、1分から1分半電子レンジでチンする。その時に私は電子レンジをじっと見ているのが好きだ。お餅がぷーっと膨らんできてちょうど柔らかくなってきた瞬間をとらえて、急いで電子レンジを止める。それから水分だけ捨ててそこに蜂蜜をかけてからきなこをたくさんまぶす。そしてふわふわに柔らかくなったお餅をお箸で小さめに切ってゆく。小さくすればするほど、きなこが周りにまぶされて、たっぷりな蜂蜜ときなこに覆われたおいしいおいしいお餅が出来上がる。こうなってしまえばもういくつでも食べられる。

さて、次に、私が好きなお餅の食べ方は磯辺巻きである。
これも茹でるまでは同じだが、電子レンジでチンして茹で上がったお餅を、別のお皿に用意してはおいたお醤油と七味唐辛子にまぶして、たっぷりの海苔で包んで食べる。お気づきだと思うが、私はお砂糖や味醂などの甘味は入れない。七味唐辛子でピリッと辛さが効いたお餅を、香ばしい海苔に包んで食べるのが好きだ。ここで海苔はどんなに新鮮なノリであっても、新鮮なノリじゃなくても、私は一旦火であぶる。すると一段と香ばしくなるし、海苔がパリパリと割れて食べやすくなる。これもまたいくつでも食べられるほどおいしい。
きなこ餅はおやつ、磯辺巻きは食事。どちらにしてもそんなにお腹が空いていなくても食べたいなと思う。

そしてお餅の良い点は、とてもとても腹持ちが良いことだ。
お餅を食べれば今日1日とにかく頑張ろうと言う気持ちになる。潜在意識的に、食べたからには体を動かして、お餅のエネルギーを消費させたいとも思う。なので、私はお正月早々から、バイオリンを思いっきり練習し、ジョギングをしたりウォーキングをしたり、水泳もバシバシ泳ぎ、また練習、というサイクルを続ける。お正月から、今年も始まったという新たな気持ちで、頑張るぞと思う。
昔のように若くないから、頑張ると言っても限度がある。体力や気力が続かないことも多々あるし、なかなかやる気が出ない日も多い。疲れが溜まっていたり、ボーッとしていたり、なかなかやる気が出ない日もある。そんな時にもお餅を食べておくと、とにかく消費させなければならないと言う気持ちで行動を起こすわけだ。

言い忘れたが、お餅をお雑煮に入れるのも、もちろん大好きだ。これは明らかに食事だ。
他の野菜も色々入ったお雑煮の中のお餅であるが、大好きなお餅は最後に残しておいて、いよいよお汁が染み込んだお餅を最後に大切に食べる。

その他の食べ方としては、お餅をとても小さく切って、ピザの上に乗せて焼いたり、茹でたお餅の上に納豆をのせて食べたり、小さく切ったお餅をグラタンに入れて焼いたりするのも絶妙な美味しさがある。

1月、大好きなお餅をたっぷり食べることのできる今、ありがたいと感謝しながら食卓で手を合わせる。