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千住真理子インタビュー:最終回

2018/1/30 UP

千住真理子本人インタビュー、最終回となる第3回では、より深く音楽への想いについて語っていただきました。

ぜひご覧ください。

<最終回>

ー後半は主に演奏のことについてなどお伺いしたいと思います。
コンサートとレコーディングの違いはありますか?

コンサートとレコーディングは全く違うものですね。
演奏会は、本当に一期一会であるし、瞬間芸術であるし、その場に集まった人と、瞬時消えてしまう音を、いかに私の心から相手の心に到達する距離を縮めるかというのを最大の目標として弾いています。
そのときにしか持ち得ない想いや感情、一種の告白、本音の告白ですね。
レコーディングというのは、OKが出たテイクは永遠に残るわけですね。自分の出した音がその瞬間に冷凍保存というか、永遠にその形を留める。コンサートと違ってなくならないんですよね。瞬時に音がなくならない、永遠に残るっていう、この恐ろしさ。
これはもう、祈り、です。
人生の祈り、人としての祈り、神の前に音を奏でる祈り、ですね。

最初にレコーディングした時に、本当に、その恐ろしさに身体中が震えて、音が出せなくなりましたね。
どの音も違う、どう弾いても私の「永遠の音」ではないと思うと、弾けなくなってしまうんですね。
今、目指していることは、できるだけ「無垢」になるということだけです。いろいろ考えちゃうと、雑念の音しか出ないんですよね。
そうすると、その時はこれでいいに違いないと思っても、後で自分の音を聞くと、その雑念だらけの音に嫌気がさす。
だからいかにして自分が「無」になって、「無垢」の音を出して、それが一番自分がいいと思えるか、ですね。

ーそういう意味では「無伴奏」が自分らしい音を出しやすい?

共演者がいない、という意味では良くも悪くも「濃縮された自分」。その濃縮の自分が出るという、いい意味での覚悟ができます。
共演者がいると相手とのタイミングもあるし、息を合わせながら最高の瞬間を作っていく難しさはあるけれど、無伴奏はやっぱり自分だから、そういう意味では、実は好きなんですよね。

ー今後、やりたい曲などはありますか?

いろんな方向に幅を広げていきたいですね。
無伴奏もまだ弾いていない素敵な曲がたくさんあるし、ヴァイオリンをやる子が小さい頃みんな弾くような曲もやってみたい。
本来ヴァイオリンで弾く曲ではないけれど、みんなが「聞いたことのある曲」を発掘して自分でアレンジするのも、喜んでいただけるのかなと。
あと、オリンピックも目前なので、そういう意味でも、いろんな方向に今考えが及んでいます。

ー2020年、オリンピックの年にはプロデビュー45年ですね!

もう、言わないほうがいいのかなっていうくらい!
あっという間ですよ。ますます体も鍛えないと。
筋肉って、やっぱり、放っておくと、どんどん衰えますね。
だからこそ、いろいろスポーツをやっているんですけど、ちょっとでも怠るとすぐに落ちますね。
スポーツして、お肉を食べて、というのを気にしながらやっていると、身体の調子も指の動きもいいですね。集中力もいいし。

ーでは最後に、ファンの皆様に一言お願いします。

ぜひ、生演奏を聴きにして欲しいですね。
演奏会は違うと思うんですね。一期一会のその瞬間にしか味わえない、そして瞬間で消えてしまう音というのを
ぜひ体感しに来て欲しいというのは、ものすごく思います。